共通AIを“Suzuちゃん”と命名。社員とパートスタッフが、AIツールを接客で活用し、生産性向上を目指す鈴廣蒲鉾本店の取り組みをインタビュー
株式会社鈴廣蒲鉾本店
鈴廣は、2025年に創業160周年を迎える「かまぼこを始めとした練り製品」を提供する小田原の会社です。慶応元年の創業以来、かまぼこを中心に水産練製品の製造・販売を手がける中で、「かまぼこ博物館」やレストラン「えれんな ごっそ」の運営等も行っています。 その中で、株式会社鈴廣蒲鉾本店は鈴廣グループ全体のためのスタッフ管理部門として、財務・経理・人事・総務・仕入等の管理的業務と、情報システム・企画・研究開発・安全衛生・品質管理等のスタッフ的業務を担っています。 同社、業務改革部では、従来よりITツールの活用・DXの推進に取り組んでおり、今回は「AIツール」及び「WowTalk AI」の社内利用について、株式会社鈴廣蒲鉾本店 稲山 様、長津 様にお伺いしました。
本記事のポイント
課題
社内からの電話での問い合わせ対応に業務の手を止めなければいけないケースが多数発生
年末の繁忙期にはお客様への問い合わせ回答に時間を要していた
導入の
決め手
パート社員まで風祭の店舗でのイベント情報の共有のため
生成AIツールを身近に感じてもらうため、コミュニケーションツールの延長としてWowTalk AIを採用
効果
お客様からの多い質問やノウハウを蓄積し、WowTalk AIに集約するプロジェクトが発足
共通AIを活用して社内の情報を集約。何でも教えてくれる“Suzuちゃん”と命名して身近に感じられる生成AIを稼働
※「WowTalk AI」は、OpenAI社の大規模自然言語モデルをもとに提供されている「ChatGPT」を活用した、法人用の生成AIチャットサービスです。ビジネスチャットであるWowTalkから、生成AIをご利用いただけます。
【前回の株式会社鈴廣蒲鉾本店 WowTalk事例インタビューはこちら】
https://www.wowtalk.jp/case/kamaboko.html
― WowTalkの活用方法について改めて教えてください。
株式会社鈴廣蒲鉾本店 稲山 様(以下、「鈴廣蒲鉾本店 稲山 様」)
コロナ禍をキッカケに、弊社でもテレワークの促進をおこないました。会社でスマートフォンの電話通話と平行して内線手段としてWowTalkの通話機能を利用しています。コミュニケーションを図るためのツールとしての利用頻度は以前よりも上がったと思います。
また、それだけではなく「安否確認をおこなうため」のツールとしての利用機会は非常に多くなったと感じています。以前から継続していたBCP対策に加えて、令和6年発生の能登半島地震を踏まえ、さらに見直しを図るため、月に一度WowTalkで安否確認訓練を実施しています。全員が同じ時間に実際に集まって避難訓練ということも難しいため、WowTalkを活用した安否確認をおこなう癖づけをおこなっています。また、管理画面からの一斉通知機能を使って、電車遅延の共有など、防災面での活用強化に取り組んでいます。
― WowTalk AIはどのシーンでどのようにご利用されていますか。
鈴廣蒲鉾本店 稲山 様
鈴廣かまぼこの里では季節ごとにイベントを開催するのですが、イベント情報や価格など、お客様からいただくお問い合わせへの回答をWowTalk AIに読み込ませています。工場のパート社員の方などは、本社のある風祭の店舗でどんなイベントがあるか知らないことも多いので、イベント情報や商品情報、総務・人事に関する規定などをAIに聞けばわかるようにしています。
社内で使用している共通AIは、鈴廣蒲鉾の社名から「Suzuちゃん」と名前をつけています。業務改革部としては電話や問い合わせを削減したいという気持ちもありつつ、社員には“何でも教えてくれるSuzuちゃん”という、堅苦しさを取っ払った身近な存在に感じて欲しいと思っています。
メールやグループウェアの掲示板機能も利用しているのですが、新しい情報が入ってくると古い情報が下に溜まっていってしまいます。数か月前の情報を見返そうとするとすぐに見つけることができないので、そういった面ではSuzuちゃんに聞けば最新の情報を得ることができるので重宝しています。
ただし、生成AIに何をどうやって聞けばいいのか、何を打ち込めばいいかわからないという社員も多いかと思うので、まずはグループウェアの掲示板に「Suzuちゃんにイベント情報を更新しました。〇〇と聞いてみてください。」というように、そのままコピーをしてSuzuちゃんに打ち込める文を共有して使ってもらっています。
株式会社鈴廣蒲鉾本店 長津 様(以下、「鈴廣蒲鉾本店 長津 様」)
現在、業務改革部と営業、カスタマーセンター間で連携をして、年末の繁忙期に向けて多くなる問い合わせを、WowTalk AIに集約しようという社内での試みがあります。繁忙期ですと、社員のほぼ全員がデパートの販売応援に向かってしまうので、カスタマ-センターへの問い合わせの回答に時間が掛かってしまうことがあります。そのため、あらかじめ問い合わせの多い質問やノウハウを蓄積して、すぐに対応できるように準備をしようという動きが若手メンバーを中心にプロジェクト化されています。



― 社内で“生成AI”に対する意識改革はどのようにおこなっていらっしゃいますか。
鈴廣蒲鉾本店 長津 様
最近では、社内でも“生成AI”がホットワードになっているのですが、生成AIという名前を知っているけれど使ったことがない人たちが圧倒的に多かったので、難しいことは置いておいてとにかく触ってみて欲しいという想いがあり、日常的にコミュニケーションツールとして使っているWowTalkのAIから始めてみようと思いました。
まずは生成AIを身近に感じてもらうために、AIツールを使って画像編集をしたり、音楽を作成したりしたものを社員に共有しています。画像編集をする際も例えば「海に東京タワーを浮かべた画像」というよりも「鈴廣蒲鉾の店舗を加工して」という指示や、音楽生成ツールでは「かまぼこの歌」を作成したり、より自分たちの業務に親しみのある例を挙げるように工夫しています。
― 今後、WowTalk AIにどのような期待をされていますか。
鈴廣蒲鉾本店 長津 様
私自身は、電話での問い合わせが少しでも減らすことができればと思っています。どうしても電話でのコミュニケーションですと、今おこなっている業務の手を一度止めなくてはいけなくなってしまうので、知りたい情報まで自分自身で最短でたどり着くことをSuzuちゃんを活用して解決できればいいと思います。
鈴廣蒲鉾本店 稲山 様
普段からWowTalkで重要なトークがやり取りされているのですが、その内容と上手くWowTalk AIが連動してその中から課題や傾向を見ることができるようになるといいなと思います。工場で多くやり取りされている機械の点検について、WowTalk AIと連携して“こういったトラブル傾向が多い”というような“どんなトラブルが起こる”ということが可視化できるようになると、コミュニケーションツールならではのAIとしてさらに活用に幅が広がると思います。
※記載内容は2024年10月時点のものです。

- 企業名 株式会社鈴廣蒲鉾本店
- 代表者名 鈴木 博晶
- 事業内容 原料開発・製造・販売・研究・品質管理・商品開発・店舗運営・体験型博物館の運営等、練り製品を中心に多角的な事業を展開
- 従業員数 697名(パートアルバイト含)
- URL https://www.kamaboko.com/
※ワウテック株式会社は2023年9月1日にグループ会社であるキングソフト株式会社と合併いたしました。